EOS R5 Mark IIで動画撮影が途中で止まる原因は、キヤノンの資料では「1回の撮影時間の上限」「カメラ内部の温度」「カードの空き容量」「カードの書き込み性能」の4つに分かれます。カードを買い替えて直るのは、書き込み性能か容量が足りない場合だけです。まず、止まる直前に画面右側の書き込みインジケーターが満杯になっていたかを確認してください。
停止時の表示と経過時間を手がかりに、記録方式ごとのカード交換の要否を確認します。数値はキヤノンの公表値です。
まず停止時の表示・経過時間・記録方式を控える
原因を絞り込むには、止まった瞬間の画面表示、撮影開始から止まるまでの時間、記録設定、使っている電池の4点が必要です。同じ「途中で止まる」でも、この4点の組み合わせで原因がほぼ1つに絞れます。次に同じ現象が起きたら、以下を控えてください。
- 書き込みインジケーター:画面右側に、カードへまだ書き込まれていないデータ量を示す表示が出て、段階が上がっていたか
- 温度の表示:10段階の温度インジケーターが出ていたか、赤いアイコンが点滅したか、電源ごと切れたか
- 経過時間:撮影開始から止まるまでの時間。6時間、1時間30分、45分の付近で止まっていないか
- 記録設定と電池:メイン記録形式、解像度、フレームレート、圧縮方式、記録先(カード1/カード2)、電池の型番(LP-E6P/LP-E6NH/LP-E6N)
各インジケーターの見え方は、キヤノンの動画撮影全般の注意事項に画面例つきで載っています。
停止原因を時間上限・温度・容量・書き込み性能に分ける
停止時の表示と経過時間を組み合わせると、原因は下の表のどれかに当てはまります。カード交換で直るのは、書き込みインジケーターが満杯になって止まった場合と、容量が足りなかった場合だけです。温度や時間の上限による停止は、どのカードに替えても起こります。
| 停止時の状況 | 原因 | カード交換で直るか |
|---|---|---|
| 書き込みインジケーターが満杯になって停止した | カードの書き込み性能不足(断片化による低下を含む) | 設定の要求性能を満たしていないカードなら直る。満たしているカードなら、先に物理フォーマットを試す |
| 温度インジケーターが増え、赤いアイコンが点滅して電源が切れた | カメラ内部の温度上昇 | 直らない |
| 撮影開始から約6時間、約1時間30分、約45分付近で停止した | 1回の撮影時間の上限 | 直らない |
| カードの残量がなくなって停止した | カードの空き容量 | 容量の大きいカードにすれば延ばせる |
| 撮影中にHDMIケーブルを抜き差しした | 仕様による撮影終了 | 直らない |
1回の撮影時間の上限
キヤノンのマニュアルでは、撮影開始から6時間で動画撮影が自動終了すると記載されています。ハイフレームレート[入]の場合は上限が短く、119.88/100.00fpsで1時間30分、239.76/200.00fpsで45分です。製品ページには、ハイフレームレート[切]で100fps以上に設定した場合は最大約2時間とも書かれています。
上限で止まった場合、カードやカメラの故障ではありません。録画ボタンを押し直せば、新しいファイルとして撮影を再開できます。
温度による停止
温度が原因のときは、撮影中に10段階の温度インジケーターが表示されます。9段目を超えても撮影を続けると赤いアイコンが点滅し、その後カメラの電源が自動で切れます。設定によっては、電源を入れたときに「シャットダウン警告ガイダンス」が表示されることもあります。これは、今の設定で撮り続けると温度で電源が切れるおそれがある、という事前の案内です。
キヤノン製品ページに載っている、カメラ単体での連続撮影可能時間(最大・約)は次のとおりです。[自動電源オフ温度]を[標準]にした場合と[高]にした場合の値です。
| 動画記録画質 | 標準 | 高 |
|---|---|---|
| 8K 30p LGOP | 26分 | 37分 |
| 4K 60p LGOP | 45分 | 120分以上 |
| 4K 120p LGOP | 22分 | 22分 |
| 8K 60p 軽量RAW+2K 60p LGOP | 18分 | 18分 |
[高]にすると、カードや外装に触れたときのやけどを防ぐための制限がかからなくなり、撮影できる時間が延びることがあります。その代わり、キヤノンは手持ち撮影を避けて三脚などを使うこと、高温になったカードを取り出すときはやけどに注意することを求めています。製品ページには、4K Fineは撮影時間が制限される場合があるとも書かれています。Wi-Fi接続中やプレ記録を使っているときも温度が上がりやすくなります。
書き込み性能不足による停止
書き込み速度が遅いカードを使うと、撮影中に画面右側にインジケーターが表示されます。このインジケーターが満杯になると撮影は自動で止まり、最後のほうの音声が正しく記録されないことがあります。書き込みの速いカードでは、インジケーターが表示されないか、表示されてもほとんど上がりません。カードを使い込んで書き込み速度が落ちた場合(記憶領域の断片化)は、カメラで初期化すると改善することがあります。
記録方式とフレームレートから必要なカード性能を確認する
VPG400対応カードは、すべての設定で必要なわけではありません。キヤノンは「VPG400に対応したCFexpressカード」か「記録画質に合った書き込み・読み取り性能のカード」を使うよう案内しています。400MB/秒以上の性能が必要なのは、8K RAWや一部のIntra(フレーム内圧縮)設定などに限られます。主な設定での要求カード性能は次のとおりです。
| 記録設定の例 | CFexpressカード | SDカード |
|---|---|---|
| 8K RAW:標準RAW 29.97p以下、軽量RAW 59.94p・29.97p | Type B 400MB/秒以上 | 記録不可 |
| 8K RAW:軽量RAW 25p以下 | Type B 200MB/秒以上 | 記録不可 |
| 8K XF-HEVC S 422:標準Intra 29.97p、高画質Intra 24p | Type B 400MB/秒以上 | 記録不可 |
| 8K XF-HEVC S 422:標準LGOP | CFexpress 2.0 | V90 |
| 8K XF-HEVC S 420:標準LGOP | CFexpress 2.0 | V60 |
| 4K Normal XF-AVC S 422:標準Intra 119.88p | Type B 400MB/秒以上 | 記録不可 |
| 4K Normal XF-HEVC S 422:標準LGOP 119.88p・59.94p | CFexpress 2.0 | V60 |
| 4K Normal 標準LGOP:29.97p以下 | CFexpress 2.0 | U3 |
RAW動画はCFexpressカードでしか記録できません。容量についてもキヤノンが目安を出していて、8K 標準RAW 29.97pの場合、256GBで約13分、1TBで約51分です。ほかの設定の値は、キヤノンの主な仕様(記録時間・要求カード性能)で確認できます。
キヤノンは、事前にテスト撮影をして、選んだ設定で正しく記録できるか確かめるよう案内しています。カードの対応については使用できるカードについても参照してください。
カードを買う前に記録先・電池・設定を確認する
「使いたい設定がメニューで選べない」「録画ボタンを押しても始まらない」「Proxyだけが止まる」といった症状は、カードではなく電池や記録先の設定で起きていることがあります。カードを買う前に、次の点を確認してください。
- 電池:LP-E6NH/LP-E6Nでは、8K、RAW、SRAW、Fine、50p以上のフレームレート、ハイフレームレートなどが使えません。LP-E6はこのカメラでは使えません。キヤノンはLP-E6Pの使用を推奨しています。
- RAWの記録先:メイン記録形式をRAWにすると、カード2(SDカード)には記録できません。
- Proxy記録:[カード1メイン/カード2 Proxy]にすると、メイン動画を100fps以上に設定できません。Proxyがエラーで止まってもメインの記録は続きます。逆に、メインが止まるとProxyも止まります。
- カードのフォーマット形式:ハイフレームレートの動画は、exFATでフォーマットしたカードにしか記録できません。FAT32のカードには記録できません。
- 8Kが選べない:ハイフレームレート[入]、動画クロップ[する]、RF-S/EF-Sレンズ装着時は8Kを選べません。
- 動画撮影中静止画記録:[入]にしているときは、カード1とカード2の両方にカードが必要です。
インジケーターが満杯になって止まったのに、使っているカードがその設定の要求性能を満たしている場合は、買い替える前に物理フォーマットを試します。手順は3ステップです。
- カード内の動画を、カードリーダーまたはEOS Utilityを使ってパソコンに退避します。初期化するとカードのデータはすべて消えます。
- カメラで[機能設定:カード初期化]を開き、[物理フォーマット]で初期化します。キヤノンは8K/4K撮影の前にこの方法で初期化するよう案内しています。
- 止まったときと同じ設定でテスト撮影し、書き込みインジケーターが上がっていかないかを確かめます。
カード交換が必要な場合のType B/VPG/容量の選び方
カードを替える必要があるのは、「今のカードが設定の要求性能を満たしておらず、インジケーターが満杯になって止まる」場合か、「撮りたい時間に対して容量が足りない」場合だけです。選ぶときは、形状、性能、容量の3点を順に確認します。
- 形状:カード1のスロットはCFexpress Type Bです。キヤノンの仕様上、カード1はCFexpress 2.0・VPG400対応とされています。
- 性能:400MB/秒以上が必要な設定(8K RAWなど)で使うなら、VPG400対応カードを選びます。CFexpress 2.0やSDのV90/V60/U3で足りる設定であれば、高価な上位カードを優先する必要はありません。
- 容量:キヤノンの記録時間の目安(8K 標準RAW 29.97pなら256GBで約13分、1TBで約51分)から、1本のカードで撮りたい時間を逆算します。
8K RAWなど400MB/秒以上が必要な設定向けの候補としては、ProGrade DigitalのCFexpress 4.0 Type B IRIDIUM 400GBがあります。メーカー公称値でVPG400認証、持続書き込み850MB/秒で、価格帯はハイエンド寄りです。
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価格・在庫状況はAmazonの商品ページでご確認ください。
このカードはCFexpress 4.0規格の製品です。メーカーは「現行のCFexpressカメラではこのカードの最大速度は活かせない」と注記しています。確認したキヤノン資料の範囲では、CFexpress 4.0カードの使用についての記載はありません。購入前にメーカーの製品情報で対応状況を確認し、届いたらまずテスト撮影をしてください。
解決しない場合のデータ保全とキヤノンへの相談
要求性能を満たすカードを物理フォーマットしても止まる場合や、別のカードでも同じ症状が出る場合は、この記事の切り分けだけでは原因を特定できません。記録済みデータを守ってから、キヤノンに相談してください。手順は4ステップです。
- 熱制限のアイコンが出ている間はカードをすぐに抜かず、撮影を止めてしばらく置きます。カードが熱くなっていることがあるためです。
- カードリーダーまたはEOS Utilityで動画を退避します。4GBを超える動画ファイルは、パソコン(OS)の機能で取り込もうとすると取り込めないことがあります。
- 物理フォーマットしたあと、解像度やフレームレートを下げた設定でテスト撮影し、どの設定から止まるかを記録します。
- それでも改善しない場合は、控えておいた表示・経過時間・記録設定・電池とカードの型番を添えて、キヤノンの修理受付窓口に相談します。
よくある質問
SDカードで8K動画は撮れますか?
設定によっては撮れます。8K XF-HEVC S LGOPなら、422ではV90、420ではV60のSDカードに記録できる設定があります。8K RAWと8KのIntra設定は、CFexpressカードでしか記録できません。
[自動電源オフ温度:高]にすれば止まらなくなりますか?
止まらなくなるわけではありません。一部の設定で連続撮影時間が延びることがあるだけで、4K 120pのように[標準]と[高]で時間が変わらない設定もあります。[高]にする場合は三脚などを使い、カードを取り出すときはやけどに注意してください。
CFexpress 4.0のカードは使えますか?
確認したキヤノンの資料には、CFexpress 4.0カードについての記載はありません。カメラの仕様上、カード1はCFexpress 2.0・VPG400対応とされています。4.0カードを使う場合は、カードメーカーの対応情報を確認したうえで、事前にテスト撮影をしてください。
まとめ
停止時の表示と経過時間を確認し、温度や時間上限が原因ならカード交換を急がないでください。書き込みインジケーターが満杯になった場合は、現在の記録設定に必要なカード性能と手元のカードを照合し、不足するときだけ交換を検討します。

