BenQ PD3225Uで画面は切り替わるのにキーボード・マウスが付いてこない場合、最初に疑うのは映像ではなくUSBデータの上り経路です。HDMIまたはDisplayPortで映像を受けているPCは、映像ケーブルとは別にUSB Type-B(上り)ケーブルでモニターとつなぎ、OSDの「USBアップストリームビデオ入力」をそのPCの映像入力に合わせる必要があります。Thunderbolt 3入力につないだPCは、1本で映像とUSBデータを運びます。購入や初期化の前に、配線とOSD設定の確認で切り分けられます。
この記事の手順は、対象製品にPD3225Uを含むBenQ公式FAQ「KVM機能でPCとモニターが起動しない場合、どうすればよいですか?」と、PD3225Uの公式仕様の記載に基づいています。FAQのメニュー表記は複数機種で共通のため、お使いの本体に同じ項目が見当たらない場合は、似た名前の項目を推測で変更せず、BenQのサポートへ確認してください。
症状から最初に確認する箇所
症状は「映像とUSBデータのどちらの経路で、どの上り接続が失敗しているか」で分けると、確認する場所が絞れます。画面だけ切り替わるならHDMI/DisplayPort側PCのUSB上り、Thunderbolt 3接続のPCだけ操作できないならKVMの切替先、スリープ明けだけならモニターの電源復帰設定とPCのスリープ解除が最初の確認箇所です。
| 症状 | 失敗が疑われる経路 | 最初に確認すること |
|---|---|---|
| 画面はHDMI/DisplayPort側のPCに切り替わるが、キーボード・マウスは別のPCのまま | HDMI/DisplayPort側PCのUSBデータ(USB Type-B上り) | USB Type-B上りケーブルがそのPCにつながっているか、USBアップストリームビデオ入力がそのPCの映像入力と一致しているか |
| Thunderbolt 3でつないだPCを表示しているときだけ操作できない | Thunderbolt 3入力のUSBデータ | KVMの切替先がThunderbolt/USB-C側になっているか、PCが出力側(15W)の端子につながっていないか |
| 普段は動くが、スリープ明けや電源投入時だけ動かない | モニターの電源復帰設定とPCのスリープ状態 | 電源復帰のUSB関連項目がONか、PC本体の電源ボタンで復帰できるか |
| 設定を合わせても入力先が意図どおりにならない | 自動切換による入力先の変化 | メニューに自動切換がある場合はOFFにして切り分ける |
2台分の映像とUSBのつなぎ方
PD3225Uで2台のPCを切り替えるときは、PCごとに映像とUSBデータの両方の経路をそろえます。公式仕様の主な機能欄には「KVMスイッチ 〇」とあり、接続欄でデータ転送を伴う上り接続として記載されているのはThunderbolt 3入力とUSB Type-B(上り)です。HDMIやDisplayPortの映像ケーブルだけでは、キーボード・マウスの操作は相手のPCへ届きません。
| 端子 | 公式仕様の表記 | KVMでの役割 |
|---|---|---|
| Thunderbolt 3入力 | Thunderbolt 3 (85W給電, DisplayPort Alt Mode, データ転送) 1 | 1台目のPC用。映像とUSBデータを1本で接続。対応PCへの給電にも使う |
| USB Type-B(上り) | USB Type-B ( Upstream ) 1 | HDMI/DisplayPortで映像を送るPCのUSBデータ用 |
| HDMI / DisplayPort | 接続欄に映像入力として記載 | 2台目のPCの映像用。USBデータはここを通らない |
| Thunderbolt 3出力 | Thunderbolt 3 出力 (15W給電 ) 1 | 85W給電の入力とは別の端子。PCの上り接続先と取り違えない |
| USB Type-C(下り) | USB Type-C ( Downstream ) 1 | 周辺機器用の下り端子。PCの上り接続先と取り違えない |
| USB 3.2(下り) | USB 3.2 ( Downstream ) 3 | キーボード・マウスなどをつなぐ下り端子 |
配線は次の4ステップで見直します。
- 1台目のPCを、モニターのThunderbolt 3入力(85W給電と記載された端子)につなぎます。同梱品には「Thunderbolt 4ケーブル (約1.0m)」が含まれます。PC側の端子がThunderbolt接続に対応しているかは、PCメーカーの仕様で確認してください。
- 2台目のPCの映像を、HDMIまたはDisplayPortでモニターにつなぎます。どちらの入力につないだかを控えておきます。
- 2台目のPCとモニターのUSB Type-B(上り)端子を、USBケーブルでつなぎます。同梱品には「USB 3.2 Gen2ケーブル x 1 (約1.8m)」が含まれます。PC側の端子形状に合うかは、手元のケーブルで確認してください。
- キーボードとマウスを、モニターの下りUSB端子(USB 3.2下りまたはUSB Type-C下り)につなぎます。
USBアップストリームビデオ入力と切替先の確認
配線が正しくても、OSDでUSB Type-B上りをどの映像入力と組み合わせるかが合っていないと、キーボード・マウスは画面に付いてきません。公式FAQは、Thunderbolt/USB-Cを除き「USB アップストリームが入力デバイスと正しく接続されていることを確認」したうえで、USBアップストリームビデオ入力を設定するよう案内しています。
手順は次の3ステップです。
- USB上りに対応する映像入力を合わせる:
メニュー > KVM スイッチ > USB アップストリームビデオ入力 > HDMI または DisplayPortを開き、2台目のPCをつないだ映像入力を選びます。 - 自動切換をいったん止める:メニューに自動切換がある場合は、
メニュー > KVMスイッチ > 自動切換 > OFFにして、手動の切替だけで動くかを確認します。項目がない場合は、この手順を飛ばします。 - KVMの切替先を操作したいPCに合わせる:
メニュー > KVM スイッチ > Thunderbolt/USB-C または USB アップストリームで、Thunderbolt 3接続のPCを操作するならThunderbolt/USB-C、HDMI/DisplayPort接続のPCを操作するならUSBアップストリームを選びます。
設定後は、2台それぞれで「表示中のPC」と「キー入力が届くPC」が一致するかを確認します。一致しない場合は、後述の直結による切り分けへ進みます。
スリープ時だけ動かない場合
普段は切り替わるのにスリープ明けだけキーボード・マウスが効かない場合は、モニター側の電源復帰設定をONにし、それでも復帰しなければPC本体の電源ボタンでスリープを解除します。公式FAQはこの2点を、KVM使用時にPCとモニターが起動しない場合の確認項目として挙げています。
手順は次の3ステップです。
メニュー > システム >電源復帰 > USB > ONに設定します。メニュー > システム >電源復帰> Thunderbolt 3 and USB > ONに設定します。- キーボード・マウスで復帰しない場合は、公式FAQのとおり「PC の電源ボタンを押してスリープを解除」します。長押しはせず、通常どおり押してください。
2つの電源復帰項目のうち、メニューにない項目がある場合は、ある項目だけをONにします。ない項目を別の設定で代用しないでください。
直結で切り分けてサポートに伝える情報
OSDと配線を見直しても特定のPCだけ操作できない場合は、キーボード・マウスをそのPCへ直接つなぎ、モニター経由の経路とPC側の問題を分けます。直結で動くかどうかで、次に確認する場所が変わります。
- 直結では動く:モニター経由の経路(上りケーブル、上り端子、OSD設定)側を疑います。手持ちの正常に動作するケーブルで上り接続を差し替えて、もう一度確認します。
- 直結でも動かない:KVMではなく、PCやキーボード・マウス側を確認します。
モニター側の特定経路だけで失敗する場合は、次の情報をまとめてBenQのサポートへ相談すると状況が伝わりやすくなります。
- 本体ラベルに記載された型番
- 各PCの接続先(Thunderbolt 3入力、HDMI、DisplayPort、USB Type-B上り)
- USBアップストリームビデオ入力、KVMの切替先、自動切換、電源復帰の各設定値
- 症状が出るタイミング(切替直後、スリープ明け、電源投入時)
- 直結での動作結果と、ケーブルを差し替えた結果
ケーブルや機器の購入が必要になる条件
ここまでの確認に購入は必要ありません。何かを買うのは、無料の確認を終えたうえで次の条件に当てはまる場合だけです。
- USB上り用のケーブルが手元にない:まず同梱品の「USB 3.2 Gen2ケーブル x 1 (約1.8m)」を探します。紛失していた場合だけ、PC側の端子とモニターのUSB Type-B(上り)に合うUSBケーブルを検討します。モニター本体を買い直す必要はありません。
- 直結とケーブル差し替えでも、モニター側の特定経路だけ失敗する:購入の前にBenQのサポートへ相談し、保証や修理の判断を受けてください。自己判断で同じモニターを買い直すことはおすすめしません。
- これから内蔵KVMで2台のPCを1台のモニターにまとめたい:PD3225Uは公式仕様でKVMスイッチ搭載が確認できます。Thunderbolt 3入力とUSB Type-B上りの2系統で2台を切り替える構成になることを前提に検討してください。販売情報は次のBenQ Creative Pro PD3225U 31.5インチ 4K IPS P3 98% デザイナー向けモニターで確認できます。価格と在庫は購入時に確認してください。
価格・在庫状況はAmazonの商品ページでご確認ください。
よくある質問
HDMIケーブルだけでキーボードとマウスも切り替わりますか?
切り替わりません。公式FAQは、Thunderbolt/USB-Cを除いてUSBアップストリームの接続を確認するよう案内しています。HDMIやDisplayPortで映像を送るPCは、USB Type-B(上り)ケーブルでもモニターとつなぐ必要があります。
モニターのUSB Type-C端子にPCをつなげばよいですか?
公式仕様では、USB Type-C端子は下り(Downstream)として記載されています。PCとUSBデータをやり取りする上り接続として記載されているのは、Thunderbolt 3入力とUSB Type-B(上り)です。Thunderbolt 3出力(15W給電)も入力とは別の端子です。
自動切換はOFFのままにしておくべきですか?
公式FAQは、KVMの不具合を切り分ける手順として自動切換をOFFにするよう案内しています。OFFで安定して動くなら、そのまま手動で切り替える運用にできます。メニューに自動切換がない場合は、この設定を探す必要はありません。
まとめ
- 画面だけ切り替わる場合は、映像ではなくUSBデータの上り経路を先に確認する
- HDMI/DisplayPort接続のPCには、USB Type-B(上り)ケーブルが別途必要
- OSDのUSBアップストリームビデオ入力を、そのPCの映像入力に合わせる
- KVMの切替先は、Thunderbolt 3接続のPCならThunderbolt/USB-C、HDMI/DisplayPort接続のPCならUSBアップストリーム
- スリープ明けだけ動かない場合は、電源復帰のUSB関連項目をONにし、PCの電源ボタンで復帰する
- 直結で切り分けても解決しない場合は、購入より先にBenQのサポートへ相談する

